探偵帽をかぶったルーペと目

あけまして腹筋しろよおめでとうございます。

年末年始、皆様はいかがお過ごしでしたか? 僕は実家に帰りつつ、溜まりに溜まった積み本を消化しようと思っていました。ですが結局読めたのは「ジョブ理論」という本1冊のみでした。

もともと本を読むスピードは遅い方ではないのですが、駆け足で読んだ本はあまり頭に残ってないことが多かったのが悩みでした。
「ジョブ理論」は、僕の分野外ともいえるマーケティングについて取り扱った本です。今回はアプローチを変えて、じっくり読みで本との向き合うことにしてみました。いつもと180度アプローチを変えたことで、結論として非常に本への理解と良い意味での疑問が深まったと思います。

本記事では「ジョブ理論」を読みながら僕なりのじっくり読みをするためにした工夫をまとめていきます。

じっくり読み

じっくり読みためにやったことを詳しく言うと、要点の整理を並行しながら読み込みました。

この本は何が言いたいのか?ポイントは何なのか?各章では?節では…?ということを丁寧に一つ一つおこなっていったわけです。(性格が雑なので実際に丁寧だったかはアレですが)

4つのポイント

実際にはノートPC開きながらKindleで読書をすすめ、文章の節を読み終わるごとにesaにメモを入力して要点を整理しました。

メモした中身ですが例として以下のようなポイントざっくり書き記していきました。

  1. この節で一番言っておきたいことは?
  2. 列挙もしくは対比されている内容
  3. 「ストーリー」として語られている文章の要点は?
  4. 個人的に大切だなと思った部分

メモはあとから見返すときにも役に立ちますし、書籍の内容を自分なりに組み立て直すことで、より内容の理解がしやすくなるのではないでしょうか。

まず見出しに頼る

この節で一番言っておきたいことは?

一番重要なことは、単純に見出しと本文と照らし合わせながら文章を読み込めばだいたいすぐに汲み取ることができます。

ただそれだけでは実際の文章的にも内容的にもほとんど情報を読み取れていません。なので、一番大切なこと以外に何が隠れているか?に目を向けることにしました。

特徴的な構造を見つける

2. 列挙もしくは対比されている内容

はっきりとした構造を表現している箇所に注目します。例えば箇条書き、「次の4点で〜」や「しかし〜」などといった文章構造を示す言葉の前後にあるのではないかと思っています。これらは列挙や対比といった意味合いを持つので、節の中で特に重要となる内容にたいして

  • 例をいくつか上げて根拠を述べる
  • 複数のやる方を列挙する
  • 強調する
  • 別の切り口から(例えばメリット/デメリットなど)語る

といった働きをすることが多いです。 これらの内容はメモに箇条書きになおすなどして、構造を強調する形で僕はまとめています。

ストーリーを噛み砕く

3. 「ストーリー」として語られている文章の要点は?

ストーリー仕立ての文章は読みやすく共感しやすい反面、要点を理解しづらい部分があると考えています(僕だけでしょうか?)。特に文脈を正しく理解できていないような場合には何を言っているのかわかりません。「なるほど〜」と1回読むだけではなく、分からない用語をなるべく調べて潰しながら文脈を想像して何回も読み直します。話の中にはまずオチ(結果)が必ずあり、そのオチを導くためのきっかけ(直接的な原因)を探すと見つけやすいと思います。

ただし、ストーリーは要点をさらうだけではとてももったいないものです。ストーリーを書き記すには状況や感情など、様々な要素を使って彩る必要があるからです。後述しますがストーリーには読み手の視点で知りたい事が隠れている場合が多くあります。

ストーリーは知見の宝庫

4. 個人的に大切だなと思った部分

「ジョブ理論」には意図的にストーリー仕立ての文章が多用されています。ストーリーを読んだときに重要だと思うポイントは読み手よって変わるのではないでしょうか。

例えば僕が「ジョブ理論」のストーリーを読み解いたときに、マーケティングというよりは組織をどう形作るか?についての話が強く心に刺さることが多かったのです。これは僕がマネジメント領域に強い関心を持っていたため、それに呼応する部分が僕にはストンと入ってきました。

そうやって見つけた個人の視点による重要なポイントは、話の本筋から外れているまたは書き手からは重要であると思われていないかもしれません。ですが読み手に取っては本筋のお話の理解を強くしてくれたり、全く別のひらめきを与えてくれたりするものになりうるのではないでしょうか。

メモを取るための環境

メモ取る環境はあまりこだわりがなかったのですが、

  • マルチプラットフォームであること
  • マークダウンでかけること
  • 書き心地の良さ

という点でesaのお試しをさせていただいています。

ネットがあればどこからでもアクセスができて、操作のレスポンスが速くて自動保存などの小回りが効くesaはとても僕には合っているサービスです。

もちろんこれは人によっては紙を使ったほうが良いかもしれないですし、付箋を張るだけですんでしまうかもしれません。僕にとっては内容を整理しなおすという点でマークダウンというフォーマットが性にあっていたためPCを使いました。

メリット/デメリット

一通り僕が試してみたじっくり読みのやり方について説明してきました。ではこのやり方にはどういったメリット/デメリットがあるのでしょうか。

デメリットから書きます。

  • 時間がかかることと
  • 節ごとに読書が分断されること

小説のような1から10までストーリーを追うようなものやある程度の塊として文章を読んだほうがよいようなものには向かないかないでしょう。また全ての書籍をじっくり読むことは時間的制限から辛いと思います。

メリットは以下の通りです。

  • ただ読むより、本から吸収できる情報量が格段に増える
  • 立ち止まってそれぞれの節にかかれている内容について考える時間が自然と生まれる
  • 疑問点が増える

メモを取りながらなの読書、全体の構成は自然と頭に入ってくるので「この内容はあの章と関連しそうだ」や「このあとの章でこういった内容がでてくるのでは?注意深く読もう」といった感想がぽつぽつと湧いてきます。

また、「納得できない部分」が増えると思います。流し読みでは自分にとって良いと思った部分だけを拾って満足しがちです。納得できなかった部分は疑問につながり、さらなる学習や試行錯誤につながっていきます。

一気読みが川を一気に降りながら全体の意味を読み取るようなものだとしたら、じっくり読みは蜘蛛の巣のようにコンテンツのネットワークを少しずつ作るように読んでいくようなものだと思っています。

既にIDDD本もくもく読書会でやってた

実は今回の読み方を試す前にも似たような読書方法を実践していました。
会社の同僚が二週間に一回IDDD本もくもく読書会というイベントを主催しています。

IDDD本はヴァーン・ヴァーノンさんによる実践ドメイン駆動型設計の略称で、複雑な業務ひいてはシステム設計にどう立ち向かっていけばよいかについて書かれています。非常に学びのある本です。

ですがこの本、分厚くて難しいのです。もともと扱っているテーマが難解なことに加え、途中に挟まるアメリカンジョーク、暗黙的に変わる文脈などなど心くじける要素に満ちあふれています。この会に参加する以前、一回通しで読んだことがありました。ですが途中で何回も挫折しかけた上に読後に何も知見が残らなかった覚えがあります。

「一年」をかけて「一冊」を読む会

前述の勉強会はそんな挫折しやすい本を挫折しそうな人が集まって、励まし合いながら読んでいく会です。タイムテーブルはだいたい1時間読書して残りの1時間で読んだ内容のディスカッションを行います。ディスカッションは「全然わからなかった。。。」のコメントを発端として(笑)メンバーが躓いたところを丁寧に議論していきます。

そんなこんなで回によっては30〜40ページ程度しか進まないこともあります。本全体は600ページ程度あり、だいたい一年で一周できるのでは?というのんびりとした見通しで進めています。

僕のこの会での取り組み方としては、内容のメモを取りつつ、つまずいたところは逐一ネットで検索をかけ、それでもダメなところはあとで議論するところとして書き記しておいています。じっくり読みとアプローチ的に重なる部分があります。
他の参加されている方々も、隅々までしっかりと読みこんでいます。なのでディスカッションでは議論がとても盛り上がりがるのです。

名著には細部まで情報が詰まっている

IDDD本にはとにかく情報が詰まっています。

  • 何気ない図表に、文章の主題を読み解くための鍵が隠されている
  • 一見同じに見えるワードでも大文字小文字などの表記の違いにより意味合いが異なる

文章の、端から端まで読み込まなければ大切な内容が抜け落ちてしまうのです。
(文脈がコロコロ変わったり、前後感のつながりの切れ目がわかりにくかったりなど単純に難しいなと感じる部分も多く存在します。)

これらの細かい読み込みを無視した結果、知識として何も身につかなかったのが過去の僕です。さらに悪いことに、「なんとなくの内容は理解してるし。」という勘違いをしていました。勉強会ではIDDD本に丁寧に取り組むことで「ここまで濃い知見がつまっていたんだ!(わからない部分まだあるけど)楽しい!」と素直な感想を持っています。

「この本を読むのは難しい」と感じたときに、やり方を変えてみるということは大切だと思います。僕にとってその方法はじっくり読むことだったり、誰かと読むことだったりしたのです。

まとめ

あくまで今回の記事は「ジョブ理論」にしか適応されないポイントも多々あるかもしれません。「その文章がどういった構造をもっているか?どう読み解けば理解しやすいか?」を考えながら読むことは確実に全体の読書体験を向上させるのではないでしょうか。

じっくり読みをしていると、文章をぱっと見ではわかりにくい事実や隠された因果関係を浮き彫りにする、まるで探偵になったような気持ちになります。みなさんもたまには「速く」ではなく「じっくり」本を読んでみるのはいかがでしょうか。

それでは今年も腹筋しろよ!